網中詩郎のプライド
激闘を制したジェリドが二回戦進出!
メインエヴェント KOKトーナメント一回戦 30分一本勝負
○ジェリド・マサ
網中詩郎×
16分26秒
ジャックハマー→片エビ固め
昨年12月に行われた、第84戦「’17師走オムライス」メインは、エルボー、チョップの飛び交う激しい展開を制したジェリドが勝利。イクメンレスラー・網中を撃破し、トーナメント制覇に向け上々のスタートを切った。お互いに対戦経験のある両者、もちろん手の内はよく知っている。それゆえ試合運びに注目が集まるなか、先に仕掛けたのは網中。序盤の流れから逆一本背負い、腕十字をきめて執拗に王者の右腕を攻撃。”チョップ封じ”の作戦に出るあたりは流石、網中が試合を優位に進めていく。対してチョップを封じられたジェリドもこのまま黙っている訳にはいかない。執拗な腕攻めを断ち切るべく、腕十字で伸びきった腕を強引に引き寄せると、むんずと立ち上がり相手をリングに叩きつけ反撃開始。それまでの鬱憤を晴らすべく怒涛の攻めで追い込んでいくが、決定打には至らず勝負は終盤へと突入。泥沼の打撃戦を展開し、まるでチョップとエルボーで会話するかのごとく身を削り合う二人。しかしここで前出のチョップ封じを忘れさせるようなチョップを繰り出すジェリドに、網中の勢いも徐々に後退。このまま押し切られるかと思われたが、アミアップで気合を見せつけ猛然とエルボーラッシュ。鬼気迫るその姿に会場からは網中を後押しする声援が送られ、ついにジェリドも腰をガクっと落とした。これをチャンスと見たか、網中がフィニッシュのインプラントの体勢に移行。セット完了、いよいよ勝利も目前と思われた刹那、ジェリドが一瞬のタイミングを突いた。なんと体勢を入れ替えてインプラントを崩すと、強引にぶっこ抜きジャックハマーを繰り出し3カウント。やはり最後も力で押し通し、網中をねじ伏せた。あと一歩のところまで追い込んだ網中、トーナメントからは姿を消すも大きな爪痕を残した。そこには創生期から参戦しつづける者としての譲れないプライドがあったのかもしれない。かくして、お互いに存在感を見せつけた試合は最高の盛り上がりをみせ、2017年のKIWを締めくくった。そして次の大会からはトーナメントは二回戦に突入する。下馬評どおりか、それとも波乱の展開か。トーナメントからますます目が離せない。
会場の声援を背にジェリドを投げ切った。勝利を目指し人間橋のアーチを架けたが…
果敢な攻めでジェリドを追いつめる
惜しくも敗れ去ったが、ジェリドを追いつめる展開で会場を大いに沸かせた網中。今後の動向について聞かれると「どこまで出来るか分からないけど、続けられるところまで続けたいわね」と阪神・金本監督風の言いまわしでコメント。新たな誓いを立て進んでいくことを決意した。